おいしい宮城の海の幸・松島オフ編

昨日、今日と出張で宮城県松島海岸へ行ってきました。
今朝になって仙台在住のブロガーK氏から「子守ついでになっちゃいますけど、良かったら松島付近をドライブしましょうか?」という連絡が入り、ホテルを出て合流。
さて、以下はちょっとK氏風にまとめてみました。

今日、初めて会うK氏はこの数ヶ月のブログでのやりとりでなんとなくウマが合いそうな気がしているブログ仲間だ。
昨晩痛飲してひどい二日酔いの僕は彼との待ち合わせのファミレスでドリンクバーのウーロン茶をガブ飲みしていた。

待つこと約20分。トイレに行って席に戻ってくると、そこに彼が立っていた。
相手が来るのを待ち、「あ~彼がそうなのかな?お~いたまです。初めまして」というスタイルで会うのだろうと想像していたので、魔法のように突然僕のテーブルの横に彼が立っているのでビックリしてしまった。
1歳半の可愛い娘さんを連れた姿は彼の硬派な文章とはまったく違うホンワカとした若いパパの姿だった。少年隊の布川風とでも言えばいいようなその風貌で、穏やかに挨拶する。
二言三言交わした後、とりあえずファミレスを出ることにする。

「Kさん、ごめん。俺呑み過ぎてかなりいっぱいいっぱい。」
「あ~そうなんですか。今日、写真一杯撮りますよね。奥松島ボチボチ行ってみます?」
「よく分かんないから場所はお任せします。」
「そうだ、二日酔いなんですよね。肝臓に良いアサリ汁飲みに行きますか?」
「アサリ汁・・?」
(松島にはアサリ汁のスタンドでもあるのか???)
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d0035104_2141060.jpg一見するとよくある牡蠣やホタテの直売店のようだが、店の前に立つとお姉さまがアサリ汁をさっとよそって手渡してくれる。潮仕立てでアサリの旨味が口の中にばぁ~っと広がって、アルコールに侵された胃袋が生き返る感じ。

「ここね、ホタテとか牡蠣を焼いてもらうとおまけで食べさせてくれるんですよ、このアサリ汁をね。ところがこのアサリ汁が馬鹿に旨いわけですよ。あんまり観光客が押し寄せるところでもないんで、いいでしょう?」そういうシステムなんだ・・・なるほど。
「Kさん、じゃお汁の飲み逃げってわけに行かないから、牡蠣焼いてもらおうよ。食べるでしょ?」
この焼き牡蠣が1個¥120である。ホタテは¥300。どっちを食べるって言ったら、松島まで行ってホタテをわざわざ食べる理屈はない。
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「いやぁこれぷりっぷりだね。旨そう!」
「たまさんの肝臓にはきっとこれ良いですよ。」
K氏はちびちゃんに牡蠣を少し食べさせながら、自分もパクッと口に入れ、旨そうに殻に残っている汁をすする。マネをしてみると牡蠣の濃いエキスが汁に凝縮されていて海水の塩味がちょうど良い。旨いなぁ、産地の良さだなぁとしみじみ思うのである。

奥松島に向かいながら、仕事の話になる。
彼はデザイナーの経験を経て、現在はWEB制作や印刷関係の仕事を行っているというから、基本的には僕と同じ業務をやっていることになる。
それまでブログでは仕事の詳細など情報交換したことなどなかったから、妙な共通点にもうかれこれ何年もの付き合いがあるような錯覚に陥る。

陽光にキラキラと輝く海面を見ながら、しばしドライブをする。
昨日の曇天と打って変わって今日は抜けるような青空である。

「今日はね、たまさんを仙台まで送りがてら、観光案内しますよ。どこか行きたい所ありますか?」
「いや、今日はKさんのプロデュースにお任せですよ。仙台市内は以前に仕事で歩いてたけどこっちの方は取引先がなかったんで、全然分からんのです。」
「じゃぁ塩釜市場に行きましょうか?お土産なんか買ってないでしょう?魚や塩乾物とか加工品なんかがすごく豊富にあるんですよ。仲卸の市場なんですけど、ちゃんとシロウトも買えるから。」

d0035104_21263130.jpgそこは港の一角の倉庫群のなかにあった。
車を降りた途端に磯の匂いと塩乾物の匂いが入り混じった空気を感じた。
ちょっと薄暗い巨大な倉庫の中では大きなマグロを解体してサクにしたものも売っている。中トロの500gくらいありそうなものが¥3000だそうだ。
ホヤ、海老、カニ、水ダコなど三陸の海の幸が溢れんばかりに置いてある。
朝から開いているので正午近い今はちょっと人もまばらになっている。


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お店の姉さんに声をかけられてふと足を止めた店で、大きな発泡スチロールのトレーに山盛りのトラウトサーモンのカマが¥500?!
「こんなところで鮭を買っていって、神奈川まで大丈夫なんですか?」
「だってまだ凍ってるし、元々塩漬けなんだから、大丈夫でしょう。おいちゃん、これ1盛りちょうだいよ。チョイ待ち、おいちゃんの持ってるのも値段一緒?」

店の大将が新たに山盛りにしたカマは色からして多分紅鮭だ。
「おいちゃん、それ紅だよね?」
「あーそうだよ。紅鮭」
紅鮭とトラウトサーモンならどう考えても紅鮭が旨い。脂っこいのはトラウトサーモンだが、身の旨味は紅鮭だから。
1盛りに都合10個くらいは入っている。小ぶりなものではあるが、弁当に入れるのには却って都合が良い。やたらと得した気分である。

売り場を歩き回りながらドンコを見つける。「なべこわし」というあだ名がついている魚だ。
あまりの旨さに競って鍋をつつくので鍋が壊れてしまう、ということに由来していると聞いている。見た目はお世辞にも良い面ではないのだが、白身で旨いという。
さすがにこれは持って帰れそうにないので諦める。現地に来て食べた方が数倍旨いに決まっているから、次の仙台出張の時に来るってもんだろう。


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K氏がふと思い出したように
「そうだ、団子食べに行きましょう。旨いところがあるんですよ。ホント行きましょう。旨いですから。」と言われ、行った先は塩釜神社。
ここは東北鎮護・陸奥国一ノ宮として崇敬を集める神社で境内は約1万1千平方米もあるという。今までに訪れたことのある神社の中でも格段に大きい。
参道を登って振り返ると太平洋が一望できる。水平線を船が行き来するのまで見える。

d0035104_2144413.jpgその境内に彼のお奨めのお団子屋さんがあった。
「すみません、お団子ください。」
K氏が声をかけると中で団子をこさえているおばちゃんたちの顔が一瞬曇った。
あれ?と思っていると、すまなさそうに
「今日は予約だけなのよ。今日だけはお団子できないから、おでんにしない?」という

目の前で団子を作っているのに、できない?というちょっと変な感じを持ちながら、更にK氏ができないのかと尋ねると

「ホント、予約がすごい数なもんだから明日だったら良いんだけど、今日はダメなのヨ。ホントよホント、ウソなんかこれっぽちも言ってないから。ホントだってウソじゃないんだから。」
「ん~とそうすると今日食べたかったらどうすれば良いの?明日まで待てないから。」
「あ~あのね、お団子今頼んでも一時間くらいかかるからね。」
「じゃぁ待ちますから、お願いできますか?2皿頼みますよ。」
「でもねぇ、一時間かかるのよ、ホント。待つのぉ?寒いわよ、今日は・・・」
何もウソだとか言ってないのに懸命にごまかしで団子が作れないと言っているのではない、という弁明を一生懸命にする。あまりの一生懸命さに多分今まで受けたことがないような数の予約が入ってしまって狼狽しているのだろうと想像する。
なんだか言い訳するおばちゃんが可愛く見えてくる。

とは言え今の段階では、どうしても団子を予約分以上に作りたくないらしい。
K氏は清ました顔で「じゃお願いします。待ちますから。」
「一時間待つのねぇ・・・・先に御代頂いとくから1時間したら来て。」
ようやくおばちゃんが折れた。

昼食を市内のファミレスで済ませて、塩釜神社に戻り、団子屋のおばちゃんに声をかける。
「あの~さっき団子の予約したKですが・・・・」
「あ~予約のお客さんだね。ハイハイ。」
中を覗いたら、予約も何も今作り始めた。やっぱり忙しいから作りたくなかっただけじゃない。
さっき作っても今作っても結論は同じということなのだ。

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おばちゃんはニヤリと笑って団子をお盆に載せて持ってきてくれた。
餡、醤油あん、黒胡麻の三色団子は一皿に15個(各味が5個ずつ)で520円。
柔らかい白玉団子はちょっと塩味が効いている餡と相性が良い。
さっき昼食をがっつり食べたばかりではあったが、これは別腹でイケル!
彼の娘さんもパパから餡子や胡麻をもらって食べてはニコニコ笑顔を振りまいている。
最初は人見知りして、人相の悪い僕を見ては大泣きしたが、もうすっかり慣れっこになって天使の微笑を分け与えてくれている。

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お団子を食べていると、茶店を通りかかった人が
「お、団子食べよっか。」などと言っておばちゃんにお団子を頼むたびに
「今日はね、予約で一杯だからお団子は出せないの!おでんだったらできるから」と何度も繰り返している。ただ先ほどと違っている点が一つだけあった。

「あのね今、食べてる人もいるんだけどぉ、今日は予約だけだからできないのよ!」
K氏のお蔭で新たなおばちゃんの一面を見ることができた。交渉に負けてルールを変えてしまったのが口惜しいのだ。

午後3時を過ぎると急に冷え込んできた。
「そろそろ仙台駅に向かいましょう。」K氏は車を走らせ始めた。
車中では、年齢の自覚についてという話をしていた。K氏のこういう哲学的な展開の話はなかなか味があると思っている。よく物事や事件の本質を知っており、科学的な見方をきちんとできる人だと実際に会ってみて感じた。

「たまさんは年齢を感じたときってどういう時ですか?」
「そうだねぇ最近なら、老眼になって手元が見えなくなったのに気がついた時かな。カメラの液晶モニターがこ~んなに離さないと見えなくなってさぁ、不便なの。でね、結局手元を見るためだけのメガネを作ったわけ。体は衰えるんだよね。自覚させられた。」
「僕はね、体のこともあるんですけど、よく見かける求人の年齢の上限を去年超えたことに気づいてちょっと年とっちゃったんだなぁって思いましたよ。もう逃げ場がないんだな、自分でやるしかないんだなって。」

顔では「そうだよねぇ~あるある、それ」なんて言いながらも、この言葉にはちょっと戸惑いを隠せなかった。
確かにそうなのだ。もう40代半ばになって、転職も糞もないのだ。
やるんだったら自営するなりの決断をどこかでしなくてはこの先の生き方は誰かの都合でゆらゆらと翻弄されてしまうのだろうと。年金だってちゃんと支給されるのかどうかなんて誰にも分からないのだし。

どうやって食っていく?
どうやってアイデンティティーを守っていく?
追われないで済むような仕事の仕方は?
どんな人と仕事をしていきたい?

さまざまな疑問が去来する。
一つ分かったことがあった。

このところの眠りの浅さや夢見の悪さはこういう漠然とした不安が絶対に体全体を支配しているということだ。
夢占いでは追われる夢は誰かが助けてくれる結末なら救いがあるそうだが、捕まってしまう夢は自分が消極的になっていることのバロメーターなのだそうだ。

大丈夫だ、多分、。

こないだの夢は反対車線を走っていた人相の悪いタクシーの運転手がいきなりUターンしてきて歩道を歩いている僕をどこまでも追っかけてくる夢だった。
思い切って飛び上がったら、まるで猫のように高いブロック塀の上に立っていた。
車はそのまま暴走してどこかへ消えた。
まだ自分の救いになるものは失っていないようだ。

帰りの新幹線では仙台を出た途端に深い眠りに入り、少し目が覚めたらすでに大宮を過ぎていた。昨晩の睡眠不足だけではなく、K氏と会っていろんな自分話をしてちょっと気持ちが整理できたんだろう。
まだ胃袋はひっくり返ったような状態だが、元気は取り戻せそうな気がする。
今日は松島という普段は訪れない場所をK氏のお蔭で楽しむことができて、元気までもらって帰ってきた。ありがとう、K氏。
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by yamomet | 2006-01-22 22:32 | ごはん・ランチ


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